「日曜日は無理だな…ごめん。子供の運動会なんだ」
「ふーん」
今、こうして裸で隣りに寝ているこの人が、
子供と一緒にお遊戯したり
走ったりするのは、想像できない
私は、ちょっと窓を開けてみた。
日差しが真っ暗な部屋に差し込みクラっとした。
この明と暗のコントラストが善と悪のようで、
「おまえは、絶対に悪」と
言われているように感じるのは、私だけ?
「天気いいなー今日は」
土曜の昼間からこんなことをしているのに、彼は呑気だ
こういう時って、家族のことって、思い出すのかな?
…どうでもいいか、そんなこと。
「ワイン、好きって言ってただろ。いいの買ってきたから一緒に飲もう」
私はワインに詳しくない。
でも、暗い部屋明かりでも、しっかり輝く黄金色のワインを見た時に、
いいワインなんだって、すぐに分かった
ワインの名前は、
ドメ―ヌ ル フレイヴ ブルゴーニュブラン 2006
白ワインだ
彼がフランスのブルゴーニュという有名なワインの産地の物と教えてくれた
品の良さを感じる、ハチミツのような甘い香りが口に広がる。
ワインを知らない私には、もったいないワインかも…
少し酔ったのか、考えなくてもいいことが頭に浮かんだ。
彼は奥さんと私、どっちが好きなのかな?
私のことは遊びなのかな?
子供は可愛いの?
家族といるのと、私といるのとどっちが幸せなの?
「ちょっと洗面所に行ってくるね」
「急に飲むから。酔った?」
彼の優しい笑顔を背に、鏡を見る。
出かけた涙が、部屋の明かりを反射して
黄金色に光る。
抱かれれば、忘れるのかな?
…だと、いいな
黄金色の光が、流れ星のように、頬をつたった
By Premier★Bisou