IE9ピン留め
マリアージュ
彼女と付き合って、もう少しで3年か…

今日は彼女のうちで食事
「いいワイン買ったから、うちで飲もう」と誘われた

オレにしてみたら、彼女はかなりの高値の花ってヤツ
顔だって、ある時は、電車の中で一番かわいい
頭だっていい。料理だって下手じゃない

なんでオレなんかと付き合ったのかな…
「オレのどこが好き?」なんて聞けないしな…気持ち悪いし
結婚か…彼女の方が3つ上だからな、今夜、オレから言う?…いや、無理だな
「どうしたの?大丈夫?」振り向くと、彼女が笑顔でワインを持っていた

「このワインね、“レ フォール ド ラトゥール”なの。
ほら、5大シャトーにラ・トゥールっていうのがあるでしょ、
そこのセカンド・ワインなの。
でもね、セカンドでも一流以上の味のことがあるんだって。」

1口飲んで分かる…これは、一流の味だよ
これはさ、いくらセカンドっていってもさ、名門家の坊っちゃんが
お父さんに反抗して、家出したレベルだよ…オレの二流、三流とは違うだろ

この柔らかくて優しいタンニンは、そうだな…彼女に似てるな
振られたら、オレの人生キツイよな…きっと。結婚って早く言った方が…

「ごめん、えっ?何?」
「やだ、聞いてなかった?わたし、ドレスと白無垢どっちが似合うと思う?
 お母さんは白無垢って言うんだけど…」
「……………、やっぱ、ドレスでしょ…」
「だよね!!じゃあ、そうする」
「………Mariage(マリアージュ)は大切だよ、とにかく」
彼女は、はじけるように笑って、つまようじで、オレの口にチーズを入れた

いや、そのMariageじゃないんだけど…

まあ、いいか
ずっと、君を笑顔でいさせてあげるよ

By Premier★Bisou


2001年レ フォール ド ラトゥール

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# by premierbisous | 2010-10-29 10:29
黄金の涙
「日曜日は無理だな…ごめん。子供の運動会なんだ」
「ふーん」

今、こうして裸で隣りに寝ているこの人が、
子供と一緒にお遊戯したり
走ったりするのは、想像できない

私は、ちょっと窓を開けてみた。
日差しが真っ暗な部屋に差し込みクラっとした。
この明と暗のコントラストが善と悪のようで、
「おまえは、絶対に悪」と
言われているように感じるのは、私だけ?

「天気いいなー今日は」
土曜の昼間からこんなことをしているのに、彼は呑気だ
こういう時って、家族のことって、思い出すのかな?
…どうでもいいか、そんなこと。

「ワイン、好きって言ってただろ。いいの買ってきたから一緒に飲もう」
私はワインに詳しくない。
でも、暗い部屋明かりでも、しっかり輝く黄金色のワインを見た時に、
いいワインなんだって、すぐに分かった

ワインの名前は、
ドメ―ヌ ル フレイヴ ブルゴーニュブラン 2006

白ワインだ
彼がフランスのブルゴーニュという有名なワインの産地の物と教えてくれた

品の良さを感じる、ハチミツのような甘い香りが口に広がる。
ワインを知らない私には、もったいないワインかも…

少し酔ったのか、考えなくてもいいことが頭に浮かんだ。

彼は奥さんと私、どっちが好きなのかな?
私のことは遊びなのかな?
子供は可愛いの?
家族といるのと、私といるのとどっちが幸せなの?

「ちょっと洗面所に行ってくるね」
「急に飲むから。酔った?」

彼の優しい笑顔を背に、鏡を見る。
出かけた涙が、部屋の明かりを反射して
黄金色に光る。

抱かれれば、忘れるのかな?
…だと、いいな

黄金色の光が、流れ星のように、頬をつたった

By Premier★Bisou


ドメ―ヌ ル フレイヴ ブルゴーニュブラン 2006

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# by premierbisous | 2010-10-15 10:50
メール
夜中にメールが鳴る
「寝た?」
彼はまだ、起きているんだ
2:10
「うん、起きてる。大丈夫?」
「今日はつかれた」

こんな夜中に、二人だけはつながっているんだと
思うと、妙な気分になる。
彼とは、3年前に分かれた夫だ。

「仕事きついの?」
「前と同じ」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ、人生これからだから、頑張るぞー!!」

メールが途切れた。まただ…結局、「頑張る」で終わるメール
本当に、こんなことが言いたくてメールしてきてるの…

眠れなくなって、手にしたワイン。


ブルゴーニュの白ワイン
ベルトラン アンブルワーズ ラドワ プルミエクリュ レ グレション2006

濃い味と火打ち石のような味が口に広がる。
決して甘くはないが
骨格がしっかりしていて、シンプルでいいワインだ。

でも、ちょっと一瞬、冷たいイメージ。
一口では、誤解されてしまうようなワインだ
なんだか、彼に似てる…

もっとこのワインの味を知りたいと、
私は、グラスを回してみた

3年前、彼にこうして欲しい、ああして欲しいはたくさんあった。
でも、こうしてあげたい、ああしてあげたいと思ったことはあっただろうか?

なかった…
戻らない過去を思って、ワインと涙が混じった。
何だか優しい味になった

彼は寝たのかな?
「寝てたら、ごめんね。今度は、声、聞かせて」
携帯を片手に、私はワインを涙と一緒に飲みほした

by Premier★Bisou



ベルトラン アンブルワーズ ラドワ プルミエクリュ レ グレション2006

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# by premierbisous | 2010-10-15 10:27
寂しい後味
「ああ、悪いね、忙しいのに呼び出して」
「いいのよ、べつに…」

彼と離婚して7ヶ月が経った。
彼の顔を見るのは7ヶ月ぶりだ。
何も変ってない。ただ、変ったのは、
もう私の夫でないということだけだ。
そう思うと目の前の変らない彼がちょっと
不思議な存在に思えた

「少し飲んでく?あっ…予定あるならいいけど」
「そうね…少しなら」

私たちは近くのワインバーに入ることにした。
私たちはワイン好きで、かつてもよく2人でワインを飲んだ。
私はこっちが好きとか、彼はこっちの味の方がいいとか
味のことでよく語ったものだ。

「そうなんだよ、今日もさ、オレの上司、帰ろうとすると
必ず呼び出してさ、そして必ずトイレに行っちゃうんだよ、
迷惑だよな」
「へえー、かわいそう、毎日そうなの?」

彼のたわいもない会話に素直に笑っていられる
自分がひどく不思議に感じた。
一緒に暮らしていたとき、私はこんな風に彼に笑顔を
見せていただろうか?

「君は?仕事は順調?順調だよな、きっと」
「そうね…順調…かな」

確かに一人身になってから、家事の心配もないし
仕事ばかり。順調なはずだ。

「まあ、あんまり無理するなよ。…なんてオレが言える立場じゃないけど」

彼は一度でも私に家事をしろと言ったことがあっただろうか?
いや、ない。
家事のこと、家のことをやたら気にしていたのは、もしかしたら
私だけだったのかもしれない。
彼が、そして家庭が私を「妻」という狭い世界に閉じ込めたと
私は思っていた。
でも、違う。
「妻」という狭い世界に自分を閉じ込めて、首を絞めたのは
わたし自身だったんだ。

そんなことに今更気付いても遅い。

「このシャブリおいしいね。この後味がいいね」
「…口に味が残るのって嫌いじゃなかったの?」
「ああ、好みが変ったのかな?今はこのちょっとしたスモーキーさがいいね」

シャブリは作り手や発酵の仕方で後味が変わる
そう、そんなこともよく語り合ったな…

「…この書類のさ、保険金の受取人…」
「そうね、変えなくちゃね。私じゃダメだもの」
「…うん、両親にでもしとくよ」

彼と店を出て別れた。
たぶん、この先、もう会うこともないだろう。
ワインの後味はいいが、結婚生活の後味はちょっとつらい。

空を見た。また明日がやってくる。
がむしゃらに働く日々がやってくる。
しばらくは仕事に専念しよう。
そう、私が選んだ道だ。

私はその道を確かめるように
一人、覚悟を決めて、
前へ前へと
歩いた

by Premier★Bious


ジャン マルク ブロカール シャブリ レ クロ

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# by premierbisous | 2008-01-22 17:28
私たちの「これから」
私はメールを送ってから後悔していた

こんなこと言い出さない方がよかった。
でも、私からきかなかったら、
きっと、ずっとこのままなはず。

「あんまり男性に結婚って文字は
ちらつかせない方がいいんじゃないの?」
「男性は優柔不断だから、好きだったら、
結婚は自分から切り出した方がいいわよ」
「あんまり結婚してくれないんだったら、
他の男と結婚しちゃうって脅したら?」
「私なんか自分で式場決めちゃったわよ」

友人の意見はいろいろだけど…。
確かに、私はもう若くない。
彼と私は同じ歳だ。もっと若い子と彼が結婚して
しまう可能性もある。
でも、もう7年も付き合ってきた。それなりの時間は共有してきたはず。

でも、そんなの関係ないのかな?長すぎた春という言葉もあるし。
目の前の新しい恋に一気にのめり込むことだってある。
それは、私も彼もお互いさまだけど。

「わたしたちってこれから、どうなっちゃうのかな?
ちょっと私は最近不安です。私との将来のことって
考えてる?」

メールを見直してみた。「私との」将来の「私との」が余計だ。
「酔ってたから、ヘンなメールしちゃった」って今からメールしようかな?

やっぱりやめておこう。どうせ、彼はいつもメールの返事が遅い。
何事もなかったかのように、別の話のメールをきっと
遅れて送ってくるはずだ。そしたら、私もこのメールのことは
忘れよう。

ワインでも飲もうかな?
友人の結婚式の二次会の幹事をした御礼にもらった
ハートのラベルの「シャトー・カロン・セギュール」
ボルドーメドック地区のワイン。
カベルネ・ソーヴィニョン、メルローが2対1の割合で
バランスよく入っている。

愛もバランスが大切…
同じくらいお互い好きじゃないとね…

メールが鳴った
彼からのメールだ…いつも返信の遅い彼が珍しい

「メール見ました。最近の女性は自由でいたいので、
あまり結婚の文字はちらつかせない方が
いいと聞いたので、言わなかったんだけど。
ということで、来週は指輪でも見に行く?」

やっぱりカロン・セギュールは彼と飲もう

by Premier★Bisous


カロン・セギュール

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# by premierbisous | 2008-01-18 18:23


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